第51話
そのまま車内は険悪ムードに突入。すると思っていたけど、お兄さまは結構切り替えが早いらしい。
「雫、俺の嫁にも服を買うから、アドバイスをくれない?」
「……お兄さま、何度も言いますけど、私の趣味ではなくお兄さまが自分で選んだ物の方が、奥様は喜ぶと思いますよ。」
桐生先生を見なかったことにしたのか、奥さんの為に目をキラキラさせて、はしゃいでいた。
確かに。35歳には到底見えず、助手席で静かに座っている桐生先生とは雲泥の差がある。
それでも、私から一方的にだけど、ぎくしゃくしていた私たち兄妹の仲は、お兄さまの結婚を期に、とても円滑に進んでいる。
きっと、玲のお陰。京極家の妻である私と、沖田家当主であるお兄さまがこうして一緒に出かけられるのも、玲が動いてくれているお陰なのだから。
車が向かった先は、あるデパート。本来なら繁華街の色んなショップに入りたいけど、警備上流石にそれは迷惑がかかる。
それにデパートは高級店のイメージしかないけど、意外とリーズナブルで使いやすいものも売られている。
デパートの前、車を降りれば、一瞬通行人たちが足を止めて私を見る。だけど彼らの関心はすぐに移ろい、通り過ぎていく。
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