第48話
私の世界は、案外狭い。
玲を想い、旭を想う毎日。
基本神殿の中で過ごす私は、玲が旭といる時だけそばを離れる蒼と中庭を散歩したり、桐生先生と庭を散策したりする。
妻としての職務以外は本を読んで過ごし、最近では玲の食事を考えるのが悩みの種。
そんな、世界。
そしてたまに、買い物に出かける。着物は基本、懇意にしている呉服店が屋敷に持って来てくれる物でいいのだけれど、洋服はそうはいかない。
地平さんが手配した様々なブランドの責任者がこぞって持ってきてくれるものはどれも高級品。だけど私には過ぎた物ばかりで、ホイホイと買うのは躊躇ってしまう。
だからたまに。ほんのたまにだけど。
自分で買い物に行く。
玲も行きたがるけれど、流石に玲と街を歩くわけにはいかなくて。不機嫌にしてしまうけど、いつも断っている。
「迎えに来たよ。ハニー。」
「……。」
こうして、失言をしがちなお兄さまと、
「毎回言いますが、聞かれてますからね。」
冷静にそう返す桐生先生と一緒に。
「まさか。本当に神様じゃあるまいし。」
「神様ですから。」
こんなへんてこな3人で。
これも結構、楽しい。
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