第43話

「一度、会ってみますか?」




地平の怒りを含んだその言葉は、俺には格別の誘いに聞こえた。同時にまるで『会いたくはない。』と言っている地平の表情に、愉悦が沸き上がる。



「そうだな。歪んだ記者のその目を一度拝んで見るものいいな。」



笑い混じりにそう言えば、地平は”感情”を押し込め、無機質な目を下げた。



「如何様にも。」



アポなど、不要だろう。きっとあちらの方が、進んで俺に会いたいくらいなのだろうからだ。




「楽しみだ。」


紡いだ言葉は本心からだ。俺はあの雑誌の定期購読者だからな。



脅してやるつもりはない。制裁もあり得ない。



ただ、間違っている記事を指摘する。それだけだ。

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