問題のページは、やはり破かれていて読めそうも無かった。しかし地平は数ページめくり、何かを確認すると、表紙を１枚だけ捲る。

「っっ、チッ、」

どうやらページ数で目次を確認したらしい。不愉快そうな普段冷静な地平らしくない、珍しい舌打ちに少々面食らった。

「潰しますか？」

低く放たれたその声に、返答するべきか迷っていた。このような雑誌を鵜呑みにする輩はいないだろうからだ。

そして大衆の全てが持っているであろう疑問。

【神とは何者なのか？】

この世は、そう思い、調べることを禁じられている。

しかしそれは人間たちにとっては恐怖でしかない。

恐怖は不安を呼ぶ。そして、恐怖を感じた人間たちは突飛な行動に出ることが多い。

致命傷になりかねない、行動に。

人の恐怖心は舐めてはいけない。恐怖は人を、変化させる。

防衛という名の元に、どんな行動に出るかも予想が付かない。

だから、

【神の妻、癒やしの情夫、主治医との週２回の逢瀬。】

そんなくだらない記事が書かれているとしても、ある程度の”はけ口”は残しておかなければいけなかった。

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