第40話

雑誌には、俺たち京極家の”実態”やそれに対する意見が書かれている。



こういう雑誌はよくある。それは特に、謎が多い物、実態が無いものを中心に、面白可笑しく書かれていることが多い。



「フッ、地平、お前は神の代わりに手を汚す暗殺者らしいぞ。」


「……あながち間違いではありませんけどね。」



冷静にそう言った地平は、ユーモアというものを知らないらしい。


しかし言われてみればそうかもしれない、と苦笑いを零した。



間違っていることが大半ではあるが、大本の情報はキチンと的を得ていると思う。



俺の傍に仕える”殺戮者”が3人。壊れた妻を無理矢理攫ってきた。その姉を掟を無視して殺害した。


大まかな真実が混ぜられ、この雑誌の俺はどうやら、快楽殺人者のように扱われているらしい。



しかし、



「……これは、」



コレばかりは許せない。



あまりの不快さに、雑誌を握りつぶして壁に叩きつけた。



その音を聞いて、姿勢正しく立っていた地平の肩が跳ねる。



目を見開く地平が俺の顔色を伺っているが、不愉快すぎて、説明どころか話すこともしたくはない。



地平は諦めたらしく、一直線に雑誌へと向かう。問題のページは握りつぶしてやったから読めるかは分からないがな。

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