第34話

自分の神が消え去ったというのに、誰もそれを探そうとはしなかった。



「彼は、確実に……、」



警察関係者の話では、確かに八神朝陽と他3名は、神殿の中にいた。


しかし警察が逮捕したのは、その4名と一緒に不法侵入した信者たちだけ。



本来なら、同等の罪、もしくは首謀者であるはずの彼等にはそれ以上の罪が課せられるはず。


しかし八神朝陽たちは実際に逮捕されてはおらず、警察は彼らの身柄の引き渡しすらも要請していない。



警察関係者の中で疑問視する声もある。こうして俺の所へも情報が漏れてくるほどだ。



しかしそれでも、八神朝陽たちの行方など誰も探そうとはしていない。



---まるで、その事件そのものがなかったことにされているかのように、だ。





「死んでいるはず。」


「っっ、」



彼等の出身は、あの神の家に関わる一族の内の一つだ。だからといって、彼等があの広大な敷地の中で生まれ育つわけじゃない。



「公表されて”いない”のは、あの大きな敷地内にいる者たちだけだ。」


あの敷地内で生活することを許されている家々以外は、ただの一般人だ。



だから、八神朝陽も、他3人も、生い立ちくらいなら調べがついていた。

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