第22話

正直、好きではない人種だった。



俺は生い立ちのせいか、自分の経歴がバレるのを極端に嫌う。


人に自分を調べられることは俺が最もいやがることだった。



だからだろう。知子の印象は、初めの時よりもかなり悪くなっていて、病院で顔を合わせるたび、気分を害したものだ。



その合コンの日もそれを察した途端、俺はその場で帰ってしまった。



顔を合わせればあからさまに嫌な顔をしたと思う。


近付けば冷たくし、自分の領域に知子を近付けさせなかった。しかしそんな俺に、知子は変わらず笑顔だった。



「ふ、」


「どうしたの?」



夕食を食べ終わって、俺の隣でコーヒーを飲んでいる知子が首を傾げた。



それには答えず、ゆっくりとその華奢な体に指を滑らせた。



「っっ、」


腹を服越しに撫でるだけで、知子は声にならない嬌声を挙げる。


体を引き寄せれば、小さな体は俺の力の思いのままに動き、抗うものは一切ない。



俺の胸にすっぽりと収まった知子は、恥じらいからか耳を赤くして俯いている。



たまらなく胸が高鳴る。



それは沸き上がる強い欲情のせいなどではないことに、もうとっくに気がついていた。

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