第17話

パニック障害は、いつ治るのか。



そんな焦りを感じることは今、あまりない。



覚悟を決めた、のとは少し違うのかもしれない。私は結局、欠陥品で。



欠陥品ならば付き合っていかなければいけない、”故障”もある。



それに、このパニック障害は、病気なのだから、いつかそれは、治るということ。



玲が、蒼が、旭が、そしてこの、桐生先生がいれば、乗り越えられないものはない。そう思えた。




「先生?」


「なんでしょう。」



先生とこうして紅茶を飲んでいるだけなのに。なぜだろう、薬を飲むよりも心が落ち着く。



「先生は最近、どうなんですか?」


「……え?」



目を丸くする桐生先生に、クスリと笑みを零した。



「先生って私のことばかり聞きますよね。」


「そりゃ、」


「主治医ですから?」



私の言葉に、桐生先生は困ったように笑う。



なだらかに固められた髪は真っ黒で、垂れ目がちのその目は髪と同じく真っ黒。


眼鏡も黒縁なのに、耳に空いたピアスが少し、軽さをプラスしている。



いつもスーツを着ている先生は、とても魅力的な男性に見える。



玲という存在がそれを目立たなくさせてしまっているけど。

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