第13話
side 雫
なぜだろう。
玲の思っていることが分かってしまうのは。
今玲は、失望している。
孤独に責められ、地を見つめている。
旭を産んで、いや、玲を愛し抜くと決意をしてから。私は玲のことが、よく見えるようになった。
玲が考えていることは単純なこと。
初めて当たったその壁は、人が葛藤し、悩み続けるそれなのだから。
人は同種と付き合う中で、関係について考える。
友達が自分のことをどう思っているのか。
会社の部下が、上司が、自分をどう思っているのか。
それは人によっては、家族にさえその疑心を抱く。
その恐怖を抱えながら、人はその人を探り、語り合い、知っていく。
人を思い、涙し、笑って、その曖昧な関係を保とうと日々を過ごす。
だけど玲は。
今まで要らなければ捨てれば良かった。
気に入らないことは排除し、相手を思いやる必要もなかった。
それが、あの時。
朝陽さんを知ることで、自分のありように疑問を持った。
地平さんたちに朝陽さんたちのことを調べることを禁じたのは、それが関係しているのかもしれない。
玲は知っていたのかもしれない。
自分と同じような見た目の青年が、自分より仲間に信頼され、自分以上の信念を持って自分以上の夢を見ていたことを。
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