第11話

親としてのありようは分からない。しかし、雫にこの子を愛せと言われ俺は、まっすぐにこいつを見た。


生まれたばかりの旭は、真っ白な毛並みで力強く、生を主張していた。


大きな声で泣き、自分の存在そのものを主張していた。



病室に移り、その金色の眼を初めて見せた時、雫をまっすぐに見たその目には、俺たちのような濁りもなく。


純粋なその目は移ろい、同じ色をした俺を見た。



ドキリとした。



目の前の男に、気圧された気がした。



その時に決めたのだ。



八神朝陽。あの男の遺志を継がせてみようと。




今の俺たちのやり方ではいずれ、朝陽のような愚か者が生まれる。




感情を知らない我々のそれは限界ともいえ、今は順風満帆だとしても、次世代、その次の世代となればどうなるかは分からない。



それならば、旭には学ばせてやりたい。



人の、最強の武器。



【感情】を。



両親に愛され、人を知ることで、感情は簡単に生まれる。



もちろんリスクは高い。朝陽のように、感情が強すぎれば、災いを招く。




それでも、感情はなくて良いものでもないと、俺は思う。



従者を、人を引き込むのは、圧倒的な力だけでは足りないからだ。

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