第9話

side 玲




孤独に怯える幼少期は、恐怖との戦い。



従者も、家族も、信じる者はいない。いや、信じることが、どうしてもできない。



神への教育は、変わっていた。


将来神として在るべき者を、従者が教えるのはタブーとされている。


将来の神へと教えを授けるのは元来、俺たち神の仕事。



子が3歳になれば、自分たちの仕事に常に連れて行くようになり、全てを目で覚えさせる。



我々狗神の子は、IQが高く、2歳後半になればはっきりとモノを話せなおかつ、ある程度の行動の意味を理解できるようになるからだった。



それに、”心の成熟”は関係ない。



神として、悪魔としての仕事を、齢3歳にして全てを見ることで、狗神の子は正気をなくす。



それは、自分を守る行為。


人に同情し、行為に衝撃を受けていては、自分が壊れてしまうからだ。



そんな時、頼る人間でもいれば。少しは違ったのかもしれない。


しかし、周りの全ての人間は、俺たち狗神の子にとっては信じるに値しない人間ばかりで、自分を支える人間がいないことに絶望し、恐怖におののく。



それは、必然だ。


自分を将来の神としてしか見ない従者たち。愛情を向けることのない父親。


そして、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る