廃姫の価値

救出

第51話

side 麻世



倉庫の雰囲気は、思ったよりも好感が持てた。


同じ目的を持っているわけでもない、集団。欲望のままに暴れ、違法なことに高揚感を持ち、自分たちが反社会的集団というだけで群れている、暴走族なんてそんなものだと思ってたけど。



「ばっかじゃんマジで!」


「ぎゃははは!マジであほだなこいつ!」


こうやって、ばか騒ぎして楽しんでいる。こんな雰囲気はきっと、それだけじゃ出せない。



「っっ、誰だこの女。」



呆れたわね。私がこの倉庫に入ってきてだいぶたつというのに、漸く気づくなんて。



……こんなんで、私を卒業まで守り切れるのかしら?



「初めまして。」



それだけを言った私に険しい視線を向けてくる面々。見た目だけは立派な不良ね。



「っっあ、こいつ芽依さんのダチじゃね?」


「あ!マジだ!」



芽依の名前が出ただけで、ただそれだけでこの場の雰囲気が和む。



気に入らない。本当に。



「でもなんでそのダチがここにいんだよ?」



その声とともに、周りがざわめく。それもそうよね、今日みたいな記念すべき日に、気軽に友達を呼ぶなんて、あの真面目な芽依ちゃんからしたらありえないことだもの。

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