第49話
「……俺には、あいつを幸せになんてできねえよ。」
「「……。」」
窓の外を見た。そこ芽依が育った穏やかな街並みはとっくに通り過ぎ、見慣れた場所だ。俺が育った所は、真っ黒で、汚くて、最低だ。
そんな場所に、芽依を?
だめだ。あいつは……もっと明るい場所を歩くべき人間だ。
「私が今、叔父さんとして言えるのは、ですね。」
姫山の砕けたような声に我に返ってバックミラーを見れば、鋭い眼光が俺に向かっている。
それに気圧されるほど、自分が弱くできていないことに、普通じゃないことに、失笑が漏れる。
「あの子は、Darkに入った時点でもう、光の当たる場所には帰れないってことです。」
「っっ、」
誰も口を開かなくなった車内、姫山がジッポーでタバコに火を点ける音だけが響いた。
スマホを弄りながら、煙草を吸いながら、運転までしている器用なこいつはいけ好かないが、さっきの言葉は正しい。
「運転に集中しろ姫山。」
関わった時点で、終わりだ。それだけ姫という制度は”重い”
それなのに、これからのあいつを誰が守る?いない。誰も。
Darkに捨てられた時点で、鈴森芽依の価値は下がるが、”遊び”には、使える。
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