第46話
窓越しに空を見上げるのに、結局、私の視線は窓越しに理人くんに向いていて。
「ごめん。」
ソワソワと、落ち着かない心。幸樹くんに罪悪感を感じた。
「なんで謝るんだ?」
声に振り返れば、理人くんがとても不機嫌そうにこちらを見ていた。
なんとなく、バツが悪くなって。
「うん、学校で、多分。理人くんも夏樹くんも、立場的に難しくなると思うから。」
さっきフラれた相手に謝ったなんて言えなくて。それよりも、理人くんを見ていたなんて知られたくなくて。
思わず言ってしまったこと。
「だからね、明日から……うん、一緒にいない方が、いいかもしれないよ?」
ーーーー、
「じゃぁ。」
「あ、ありがと。」
家の前、一緒に降りてくれていた理人くんが踵を返す。
「あっ、あの、」
「……ん?」
慌てて呼び止めて、口を開こうとしても、言葉が出てこない。
そんな私の頭の上に、温かくて、大きな手が乗る。
「明日な。」
「……うんっ、」
ふっと笑った理人くんは、車に乗って行ってしまった。それを見送る私の目には、大粒の涙。
さっきの私の提案に、何も言わなかった理人くんは、まだ私の、友達でいてくれるらしい。
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