第45話
そう言った叔父さんに苦笑いで返せば、そんな彼を呆れたように見ている夏樹くんが目に入る。
「あの、ごめんね、夏樹くんも。」
私の言葉に、少しびっくりした様子で。
振り返った夏樹くんは、相変わらずの無表情。
「別に。俺は理人についてきただけだから。」
「うん、でも、ありがと。」
「……ああ。」
フイ、と顔を反らされてしまった。夏樹くんって、いつもこんな感じだな、なんて。
だけどこれが、夏樹くんって感じ。
それにしても……
「ん?」
「えっ、べ、別に。」
私の隣で窓の外を見ていた理人くんが首を傾げる。
軽自動車の中のせいか、長身の理人くんには窮屈そうに見える。
「聞いてくれよ夏樹。親父が最近、仕事を増やしやがってさ。休みたいっての。」
「……休めばいいんじゃないですか?永久に。」
結構俺様言葉なのに、自分を私、なんて丁寧に呼ぶ不思議な叔父さんと、夏樹くんの会話を耳に、ただ、理人くんと並んで座ってる。
「おい、それ言い過ぎだと思わないか?」
「いえ、微塵も思いませんが。」
理人くんは、窓の外を見ているだけ。車はエアコンが聞いていてとても涼しくて、だけど、私と理人くんが少しだけ触れている部分だけが、なんとなく熱を持っている気がする。
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