第38話

きっと、ワタシ達が学校を辞めるまで続く、同情と好奇そして嘲笑の視線は、ワタシ達を責め立てる。



『この女は、Darkを追い出されるほどのことをしたに違いないから。』と。



先の不安、恐怖。冷静な頭は体を震えさせる。だけどそれ以上に、篠田幸樹を失った悲しみ、裏切られた嫌悪感は、体を抱きしめ、地面に叫んでも消えることはない。



「《ああ、うっ、うう、》」


「……なにしてんの?」



上から声がして見上げれば、雨音理人が無表情で立っていた。



相変わらずの眼鏡。Tシャツにジーパン、なんておしゃれのおの字もない格好。相変わらずダサいそいつは、ワタシ達をただ、見下ろしている。



《いっ、いつ、来た?》


「さっきからいたし。」



彼が指さしたのは、さっきの軽。どうやら一部始終を見られてたらしい。



《ごめっ、》



だけどもう、箍が外れた嗚咽は止めることができないらしい。

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