第37話

「モリ。」


別に、ワタシ達は1人なんだからいいんだけどさ。


「モリ。」


だけどただの迎えで、知り合いでもないワタシ達のためにあんなに大人数で来る訳がない。


「モリ。」


だから、違う、かな。


「モリ!」

《なに!》


「っっ、ごめ、ん。」

《……分かってる。》



分かってるよ。胸の中から湧き上がってくるこの感情。


孤独感よりも、怒りよりも、大きなそれ。


悲しみだ。



《ウッ、》

「モリぃ。」



分かってる。ワタシ達は今、とても大切だった人を失った。



倉庫からそう遠くないここで大声をあげて泣くなんて、ワタシのプライドが許さない。


だけど、芽依も、ワタシも、心が壊れそう。


ただ悲しく、絶望的で。呆れるほど流れ出てくる涙はもう、ワタシでも抑えることはできない。



「《うああああ!》」



ワタシ達は今、全てを失った。



「《うっ、あああ、ああ、》」



大好きな彼氏も、友達も、仲間も、そして、高校生活も。



廃姫になった時点で、学校でのワタシ達の居場所はない。


人気者のDarkが捨てた姫なんて、みんなの目には最低の人間だと

写るだろう。

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