第36話
護衛がなくなり始めた頃から特に芽依に絡みだしたこいつなら、篠田幸樹の様子にも気づいていたかもしれないな。
《分かってるでしょ?私は今日で姫を降ろされた。もう、ここにいられる人間じゃない。》
「っっ、」
芽依らしくそう言えば、胸にありえないほどの痛みを感じた。
これは、芽依。ワタシじゃない。芽依が悲しんでる。とても。
《ごめん、英輔。》
「っっ、お前、誰だ?」
さすが副総長。思わず自分を出してしまったワタシに、即座に反応を見せている。だけど……
《ワタシは私。鈴森芽依。》
そう言って清水英輔の背後にある門を目指した。
普段は裏門まで滞りなく護衛がいるのに、今日はいない。なんでだろう、なんて思って、清水英輔の存在を思い出した。
副総長が一人で護衛するから大丈夫的な?それもちょっと、変な感じ。
でも、理由を聞かれないだけ助かった。そう思って門を出れば。
《なにあれ。》
「……迎え、かも。」
女子大生が乗ってそうな、かわいい軽自動車が停まっていた。
暗い道で、黄色のパステルカラーのそれはエンジンがかかったまま。
ガラス越しに見える頭の数は……
《3人も乗ってる。違うくない?》
乗れるとしたらあと1人くらいしかいない。
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