第21話

でも結局、そういうことなんだよね。


幸樹くんは私と付き合う前からいくらでも彼女がいたようで。いや、この場合、彼女と呼べるのかどうかも怪しい。



不特定多数の子と関係を結ぶって、どんな気分なんだろう。


欲求を満たすだけの存在なのだから、感情もなにもないんだろうか。


いや、体が反応してるんだから、そこには少しでも感情はあるはず。なんて、メルヘンな考えが浮かぶあたり、私はまだまだお子様なのかもしれない。



大好きな幸樹くんの過去。


嫌じゃないとか言うほど、私はいい子じゃない。


嫌なものは嫌で、そんな行為は気持ち悪いとさえ思う。


だけど、人が過去に犯したことを、今しか知らない私が否定するには、あまりにも傲慢で、非人間的だ。



私は、大切にすると言ってくれた今の幸樹くんが大好きで。


過去をいつまでもほじくり返していたら、今、幸樹くんと幸せにはなれない。



「大丈夫です!勝負下着も買ったし!」


「おっ、芽依ちゃんやる気満々じゃん!やるね~。」


「……。」



ちょっと墓穴掘ったけど、今日は私と幸樹くんが一歩、幸せに近づく日だから。


だから私、怖くない。



カナさんたちにぎこちなく笑った。

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