第17話

そいつ。Dark副総長、清水英輔(しみずえいすけ)はキリリと表情を引き締めた。


「その日、お前を抱くから。」


「こっ、幸樹くぅん!」


「ぎゃああああ!」



器用にも、1人2役をしてまで見せてくれたその寸劇は、私を爆死させるつもりらしい。


とっさに口を塞いでみても無駄だったみたい。


視線を向けるところみんな。


フイ、フイ、フイ、フイ。とぼけようと必死な感じで視線を外される。



「死ぬ。いやいっそ、殺して。」


「ぎゃははは!処女ってめんどくさ~!」



私を指さして涙目で笑うこいつを、とりあえずひっぱたきたい。



「最低!」


「族の副張ってる奴に事実言っちゃ傷つくでしょ~?ぎゃははは!」



何を言ってもこの人は、私をからかうことをやめない。なぜなら?


「馬鹿英輔くんうるさい!」


「咄嗟に馬鹿しか浮かばない芽依の頭が馬鹿だし!」



こういう人だから。



「お前、大丈夫?」


「……なにが?」



突然、英輔くんは切り替えたように真顔になった。その真剣な表情に思わず、私の顔も強張る。なのに。



「ぷっ、お前お子様パンツしか持ってなさそうじゃん。大丈夫?お兄さんが勝負下着の買い方教えてあげようか?」


「……。」



結局、こういう奴なんだ。

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