第14話

『痛いけど、幸せ。』



そう言った時の麻世ちゃんは、いつもにも増して色気が抜群だった。



そんな私は、キス止まりで。正直、自分に、魅力がないんだと思った。



理人くんはいつも私に馬鹿しか言わないし。きっとそうなんだと思う。



不安は日に日に大きくなっていって。それを手伝うように、2年生に入って私の周りにも変化ができた。



幸樹くんを抱きしめ返す私の手に、力がこもる。それに返してくれた幸樹くんの力強い抱擁に、吐いた息が震えているのを感じた。




姫である私には、護衛がつく。


それは下っ端くんだったり、幹部の人たちだったり、さまざまだけど。



だけど2年になってそれは、なぜか廃止になって。



『少し、自由がほしいだろ。校内は安全だから。』



そう言った幸樹くんの言葉通り、私は校内では少し、自由になった。



だからこそ、理人くんたちと友達にもなれたんだけど。


それまでは、麻世ちゃん以外の人は排除されてしまって、友達らしい友達はできなかったから。



だけど、それと同時に、感じていた。


明らかな、疎外感、そして、孤独感。



それは護衛がいなくなったと同時に、幸樹くんもなにやら忙しくなってしまったからだった。

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