第13話
「芽依。」
「ん?」
幸樹くんはあれからずっと、私を大事にしてくれる。
「今度、9月……9月8日、暴走があるだろ?」
「うん。先代を祭るとかなんとかのやつでしょ?」
今では私も、怖さは二の次で。
この人と、みんなと、一緒にいれることが嬉しくて、楽しい。
「その日俺、打ち上げ抜け出すからさ。」
「え?」
幸樹くんの焦げ茶色の綺麗な目が、私を見つめる。その目に、幸樹くんの雰囲気に、思わず顔が熱く反応する。
「その日、お前を抱くから。」
「っっ、」
言葉で、ストレートに。幸樹くんはそう言った。
嬉しそうにそして、色気抜群で。
「……うん。」
うつむいた私を、幸樹くんの甘い香りが包む。幸樹くんの香水は、バニラみたいな香りで。
私はその香りに、きつく抱きしめられた。
1年以上も付き合ってるのに、幸樹くんは私にキス以上のことをしてきたことがない。
最近知り合ったはずの麻世ちゃんと婚約者さんはもう初体験を済ませているのに、だ。
エッチに興味がない子はいないと思う。だけどそれを、口に出して言う子はいない。
恥ずかしくても、その人とつながりたい。それは女の子なら、絶対に思うことだ。
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