第6話

話しかけられれば不機嫌だったけど答えはするし、目は合わさないけど一緒にいたりもした。



基本、2人とも嫌な感じの奴らだから、それはあまり気にしないことにしてた。



黒縁眼鏡に、基本俯きがち。完全に隠せてるからみんな知らないだろうけど、理人くんも相当なべっぴんさんだ。



夏樹くんが洋風のイケメンなら、理人くんは和風のイケメン。好みはあるけど派手な見た目の夏樹くんに隠れてはいるけど実は理人くんの方がかっこいいと私は思う。


だからだろうか。うん。きっとそう。


イケメンって基本、性格が歪んでるもんね。



完全な偏見にヤレヤレともう一度ため息を吐いて。それを嫌そうな顔で見ている理人くんに気付きもしない私は、視界の端に写った人を見た瞬間、自分の顔から表情というものが抜け落ちていくのを感じた。



「芽依?」



立ち止まった私を急かすように理人くんが声をかけてきたから、ぎこちなく笑って、再び歩き出す。



理人くんの訝しげな表情に気付かないふりをして、ただ無言で歩いた。




「芽依さん!」


「っっ。」



やっぱり、そうなるよね。なんて。



声の主を恨んでもそれはしょうがない。



「ちはっす!」


「はい、こんにちは。」



固まっていた体を無理矢理動かして、笑顔を貼り付けてそう言った。

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