第5話

「でも、昼休みもう終わるよ?あと15分。」


「15分あるだろ。」



今すぐ立てとばかりに立ち上がった理人くんに私も目で訴えてみた。



「……お供しまする。」


「ん。」


結局負けましたけども。



「ごめんねぇ、麻世ちゃん。」


「いいよ。私メールしなきゃだし。」



困ったように笑う麻世ちゃんももうきっと気付いている。



「夏樹くんは?」


「……行かない。」



そっぽを向いた夏樹くんも、



「行くぞ。」



私を急かす理人くんも、



「あ、うん。」



2人とも、麻世ちゃんをあまりよく思ってないことに。



理由は分からない、けど。



『あんたが鈴森芽依?よろしくな。』



高校2年生の春、2人同時に転校してきて、私に声をかけた時から、なぜか2人、揃って麻世ちゃんを敵視していたような気がする。



「仲良くできないなら怒るって言ったよね?」


「……お前が怒った所で恐れおののく場所は俺の体のどこにも存在しない。」



前を向いたまま不機嫌そうに理人くんはそう言う。



理人くんから視線を外して、ため息を吐いた。


知り合った時はまだ、ここまでじゃなかった。理人くんも、夏樹くんも、麻世ちゃんに対してはただ無愛想って感じで。

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