第2話

side 芽依



人の不幸の定義って、誰が決めるものなんだろう?



「聞いてる?」


「うん?」



教室に差し込む温かな日射しに目を細めた。あまりの気持ちよさに眠くなってくる。こんな何気ないことでさえ、人によってそれは、不幸になるのかな?



「聞いてるのかって聞いてる。」


「うん、聞いてるよ。」


私に向かって尖った声を向けるこの人も今、私に相手にされなくて不幸だ、そう思ってるんだろうか。



「いい加減にしろよ、芽依(めい)。」



違う。この人の場合、不幸、なんじゃなくて怒ってるんだ。



「ごめんね、理人(りひと)くん。」


「……。」


黒縁の眼鏡の奥からは、突き刺さるような視線が送られてくるのに、内心肝を冷やしながらも、なんとか笑ってみせた。



「芽依ってすぐ調子に乗るな。なぁ?」


「……さぁ。」



理人くんがそう問いかけたのは、笑った所も、怒った所も見たことがない人。



「夏樹(なつき)は少し、調子に乗った方がいいな。」


「……。」



角夏樹(すみなつき)くんは、いつもこの、雨音理人(あまねりひと)くんと一緒にいる。



目が覚めるような金色の髪、長めの前髪の間から覗くその目は、思わず覗き込んでしまいそうな程綺麗なスカイブルーの瞳が見える。

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