第50話

結局私たちは赤の他人で、私の存在は雀にとって不利益で、邪魔でしかない。冬が終わって、雀がその気になれば……



「まぁ、それなりに稼いではいる。職業は……、」



私はいずれ、この人の傍を離れるんだろうな。



「冬陽?」


「……、」



それはちょっと、寂しかったり、する。



「ああー!ここここ!穴場の釣り堀ー!」


「わっ、すげーマジだ!」




訝し気に私を見ていた雀の視線が外れて、今まさにこの釣り堀に入ってきたカップルへと移ろう。ちょっと助かったかも。雀といつかお別れすることになると思うと、涙が出そうだったから。



最近ほんと、私の涙腺変になっちゃってるな。



「最高じゃん。誰もいねえし!あっ、でももう1組いんね?」


「もう焼いてる感じだし帰んじゃね?」



雀の存在が温かすぎて。近すぎて。多分私は勘違いしてしまっているんだ。



雀は私の恋人じゃないのに。家族でもないし、知り合いでもない。困っている私を拾ってくれた、親切な同居人。ただそれだけなんだ。



「焼けたな。食うか。」


「あ、うん。」



雀がカップルから視線を逸らす。その動作がなんとなく不自然に感じたけど、なにも聞かなかった。

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