第49話

side 冬陽



「クッ、なんだよそんな驚いて?」


「……。」



ツボってるところ悪いんだけど、雀の年齢を聞いて驚かないわけがない。



「思ったより……、」



結構年上。言おうとしてやめた。そう続けるのは失礼な気がしたから。


雀の様子を伺えば、口元に手を当ててまだ笑っている。この色気はやっぱり年上だから発生させることができるのか。



雀の謎が少しだけ分かった気がした。



「あの家は持ち家。冬の間だけの、な。」


「ええっ?」



雀の自己紹介は、平凡な私のに比べてかなり驚きが詰まっているらしい。仮住まい的な?やだほんと、どんだけ金持ちなわけ。



あまりの驚きに逆に恐ろしくなってしまった私の顔が強張っているからだろうか?


「安心しろ。まだ冬は長い。まだまだ2人きりでいられる。」


「……。」



安心しろとばかりに胸を張る雀の笑顔にぎこちなく笑い返すことしかできない。



それは、私が今気付いてしまった事実から目を背けたいからなのかもしれない。それとも、雀の言葉をそのまま受け取りたくはないからか、それは自分でも分からなかった。



「両親は健在。兄弟は……兄貴が1人いるな。」


「そう、なんだ。」



気付いてしまった。私はいつまでも、この人に甘えている場合じゃないって。あの家が仮住まいだということは、雀はいずれ、メインの家に帰っていくだろう。

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