第45話

「わっ、」


「凄いっ、」


「お!」


「ふふっ、」




いちいちリアクションが可愛くて仕方がない俺は冬陽の笑顔ももれなく独り占めだ。



こんなきたねえ釣り堀で、幸せを感じる俺。


マジで連れてきてよかったかも。釣り堀をデート場所に選んだ自分を褒めてやりたい。



「ねぇっ!最高の大きさじゃない?この子!」


「冬陽、あんま釣りまくると今週全部魚だぞ?」


「え?」



釣り堀は基本、釣った魚は全部買い取りになる。一度釣って放せば、弱った魚が死んで水を汚してしまうからだ。



「わ、凄い。めちゃくちゃっ、」



釣った魚を入れておく網を覗き込んで、冬陽が滅茶苦茶焦っている。それもまた、可愛かったりするんだよな。



「そこまでだな。焼いて食うか。」


「ちょっと、釣りすぎちゃった、気がするんだけど?」


「大丈夫だろ。アレンジすれば。」




冬陽が申し訳なさそうにするなか、網を川の中から持ち上げた。



ズシリとくる重みに目を見開いて覗いてみれば……



「あのー、ごめん、ね?面白くって、つい。」


「……。」



明らか、20はいた。



「ま、まぁ、なんとか、うん。」


「ごめん。」



俺も、冬陽のあまりの可愛さにボーっとしてたのがいけないんだよな。しかしあまりの多さに、今週毎食の魚料理を覚悟した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る