デート
第35話
side 冬陽
雀の家の背後には森があって、正面の道を進めばひたすら田んぼと草の生えた敷地が並んでいる。
通っている道は駅が近いからかアスファルトだけどそれも車で少し走ると土だけの道に変化する。それからトラクターとかが通ってるだろう二輪の跡が付いた道が枝分かれに続いていた。
雀はその中央の道をひたすら進み、川に突き当たると明らかに山道のような険しい道に突入した。
そこで車内の揺れが少し強くなって。ちょっと乗り物に弱い私は心配になってしまう。
「揺れ、大丈夫?」
そこでなぜか気付いてしまうのが、この人の凄いところ。きっと色んな女の人で培われたスキルかなんかを発動したに違いない。
なんとなく、ムッときて。
「私、乗り物酔いしやすいから大丈夫じゃない。」
プイとそっぽを向いて、そう言った。
窓に映る自分は、意地悪な顔をしてる。雀にこんな態度を取る資格なんてないのに。
それにまた、繰り替えすの?恋愛なんてもうしたくない、そう思っていたはずでしょ?
グッと唇を噛んで俯いた。
グルグルと考えていたらほんとに気分が悪くなってしまって。
すると、車はゆっくり速度を落として路肩で停車した。
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