第14話

「お前、ここでなにしてるんだ?」


「っっ、」



だからまずは、女の状態を知るために、ごく当たり前の質問をしてみることにした。


ビクリと跳ねた女の肩を見て、【家出娘風】から【家出娘】に格上げする。



「親は?」


「……。」



そして、親、というフレーズを出した途端に女の頬に零れた透明な雫を見て、確信を深める。



「深くは聞かねえけど……行くとこねえなら俺と来いって。危ないからマジで。」


「……貴方の方が、危ないと思う。」


この女は意外と気が強いらしい。


そうは言っても、俺を縋るように見るその心細そうな涙目は寂しさや不安を隠しきれておらず、思わず唇をペロリと舐めた。




「まぁ、そうかもしんねえけどな。」


「ん。」



女寄りに座り直してそう言った俺に、生意気にも同意してみせた女は寒そうに手に息を吐きかける。



ぶるぶると震える身体。先ほどより赤くなっている頬。明らか、体温が下がっている。



見慣れた景色を見渡してみても、分かってた通り自販機はねえし。とりあえずあったかいもんで寒さをしのぐのも無理な話だ。



女は警戒しまくりでここを動きそうもねえし、八方塞がり。だけど寒さから逃げるように、女の身体が少しだけ俺に寄ったのを感じて、寒さで鈍った俺の思考は更に鈍ったらしい。

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