第13話
「俺は名乗ったんだから、名前くらい教えてくれてもよくね?」
「……無理です。」
一瞬、女に躊躇いが見えたがさすがに警戒心が勝ったらしい。プイと顔を背けて反抗の構えを見せている。
マジで、そのうなじにかぶりつきてえな。
ガキのうなじでこんなに興奮する自分に気が付いて、気まずさに誤魔化すように咳をした。
そのせいか、第二声が出てこない。
こいつをどうすれば手なずけられるのか、家に連れて帰れるのかが全く思い浮かばない。
見た感じ、家出をしてきったってとこだろうか?こんな田舎じゃとりあえず泊まるホテルもないだろうし、俺がとりあえず保護をするしかない。
とりあえずな、とりあえず。保護という名目で、俺の家に連れて帰ろう。気分はもう、人拐い……いや、変質者か。
俺が沈黙していたからか、気になったらしい女がチラリとこちらを振り返った。
俺が見ていることに気が付いたのか、びっくりして再びプイと顔を背けてしまう。
ゾクリと背中に電流に似た快感が走ったが、冬のせいだと思い込んだ。
まだ、手を出すわけにはいかない。こいつを手に入れるには、その辺の女みたいではだめだ。
柔らかく包み込んで、気が付けば逃げられない。そうしないと。
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