第9話

「あー、疲れた。」



私多分、夢を見ているんだと思った。



男から視線を外して、星一つない真っ黒な空を見上げる。



そもそもが無謀だったのかもしれない。



これまで17年しか生きてきていないけど、初めて私は、絶望ってやつを味わった。



本当に死にたいと思って、方法だって考えたりした。だけど結局死ねないのは……





カバンには、詰められるだけの着替えと、お金だけが入っている。



お年玉を貯金したものが20万円。通帳のままだと後々面倒かもしれないと下ろしてきたやつだった。



さっき色々買ったから少し減ってるけど、私の全財産。



海を探してそこで、決めるはずだった。




このお金を使って、これからの人生を一所懸命に生きるのか、それとも、このお金で死ぬ方法を探すのかを。




だけど現実は。スマホがないだけでこんなにも全てがままならない。



不自然に思われるわけにはいかなくて、人には聞けないし。



本屋で立ち読みしようとしたら、店員がいて気まずくなってしまったし。



スマホで調べようにも、最近まで相棒だったそれとの関係はもう、解消してしまっていたから。

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