第9話
「あー、疲れた。」
私多分、夢を見ているんだと思った。
男から視線を外して、星一つない真っ黒な空を見上げる。
そもそもが無謀だったのかもしれない。
これまで17年しか生きてきていないけど、初めて私は、絶望ってやつを味わった。
本当に死にたいと思って、方法だって考えたりした。だけど結局死ねないのは……
カバンには、詰められるだけの着替えと、お金だけが入っている。
お年玉を貯金したものが20万円。通帳のままだと後々面倒かもしれないと下ろしてきたやつだった。
さっき色々買ったから少し減ってるけど、私の全財産。
海を探してそこで、決めるはずだった。
このお金を使って、これからの人生を一所懸命に生きるのか、それとも、このお金で死ぬ方法を探すのかを。
だけど現実は。スマホがないだけでこんなにも全てがままならない。
不自然に思われるわけにはいかなくて、人には聞けないし。
本屋で立ち読みしようとしたら、店員がいて気まずくなってしまったし。
スマホで調べようにも、最近まで相棒だったそれとの関係はもう、解消してしまっていたから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます