第53話
復学するのにわざわざ学園長に会いに行くなんて、かなり大げさに感じた。
だけどそれも、長谷川さんが学園長と話を進めていた内容を聞いて、納得する。
どうやら私には、護衛が付くらしい。
あからさまなものではないけれど、私と常に行動を共にする人が。
お姉さまよりも厳重な扱いにまた、私の中で何かが鳴った。
学園長室を出て、学内を歩いていると、私の腰にそっと手が添えられた。見上げると玲が私を見下ろして笑いかけている。
「なんかいいな、普通で。」
「え?」
私の不思議そうな声に、玲はまっすぐに前を見据える。
「違う大学だが……学生同士だろ?」
「……。」
この風格や地位のせいで忘れていたけど、玲も大学生だったんだ。
小さく頷いた。
「なんだか、不思議な感じです。」
そう言って見上げると、玲は機嫌よく頷いた。
思わず、私も笑ってしまう。だってなんだか、玲がとても嬉しそうなんだもの。そんな私を見て目を見開いた玲だけど、すぐにそれを笑顔に戻して、前を向いた。
しばらく歩いて、もうすぐ正門、というところ。今まさに、学内に入ろうとしていた生徒の中に知った顔を見つけて、私は足を止めた。
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