第51話
「復学をするだろう?」
確信しているその声音には、自信しかない。小さく頷いた私に、『そりゃそうだよな』とでも言いそうなそのドヤ顔。
強引だけれど、ちょっぴり俺様だけれど、玲なりに私の事を考えてくれているんだろうと嬉しくなった。
大学を休んだのは、約1年。その間では大きな変化はないらしく、学内は変わらずだった。
今にも壊れそうな建物は相変わらず修理できていないし、中央にある一昨年できたばかりのカフェテリアはそんな古くさい建物に囲まれているには不似合いな程新しい。
よく本を読んでいた木は目に見えての成長は見られないし、よく通りかかっていた道も相変わらず。
大学はとても広く、学部も多いから、通りがかりに玲を見る学生は、みんな知らない顔なのは当たり前だった。
そういえば、お姉さまもまだ、この大学に通っていた。専攻である学部の大学院に進んで今、1年目だから。
学内で、会うことはあるだろうか。その時お姉さまは、私を見てどう思うんだろうか。
……恨んでは、いないだろうか。
「雫?」
「っっ、はい。」
玲に呼ばれて視線を向ければ、相変わらずのセピア色。
何故か、京極家にお嫁に入ってから、こう見えることがある。
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