変化

第50話

side 雫



人は、生きていく上で、数々の変化を経験する。


それは些細なことであったり、大きなことであったり……



時には、小さな変化がやがて、その人の人生すら変えることがある。




私の人生は今、大きな変化によって大きく動いてしまった。



それに比べれば、日常の変化なんてどうでもいいかもしれない。


だって私が京極玲様の妻になるなんて、少なくとも私を含め、私の周りの人間は誰1人、そう思わなかったんだから。



と、そんなことを言ってみても……



「どうした?」


「……。」




やっぱり、これは慣れそうにない。



「大丈夫か?」



私を心配そうにのぞき込んでくれる玲だけがはっきりと見える。



「はい。」



呟くようにそう言った私を見て、玲は目を細めて笑う。



ザワリ、



周りがざわめく中、玲に手を繋がれて足を踏み入れたのは、私が今休学している大学。



復学をしていいものかどうか悩んでいる内に、何故か今日、ここに連れて来られた。



きっと玲は、私の今の現状を分かっているのかもしれない。伺いすらたてず、ここに直接連れてくる辺りが玲らしくて、思わず苦笑いしてしまうけれど。

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