第47話
「お前の犬だ。俺よりよほど親しいじゃないか。」
「……。」
そっぽを向いた玲が、どうやら”焼きもち”をやいているらしい。私ごときにそんなはずはないとは思っても、この感じは確かにそうで。
思わず、胸がきゅうぅ、と締め付けられた。
「っっ、あ、の、」
たまらなく沸き上がるのは、なんだろう。苦しいのに、嬉しい。昂揚感もあって、そわそわする。
私から目を背けているこの人の横顔を見ているだけで、何か重く、抑えきれない何かが体の底から沸き上がる。
フワフワと浮いた思考は、今までのそれとは違い、この状況が理解できない苦しさなど全くなくただ、幸福感に包まれた。
私は、この人が好きなんだろうか。
好きに、なっていくんだろうか。
……あとで、失う事にはならないだろうか。
くしゃりと、顔を歪めた。私の目を支配している、美しい横顔は、段々と霞んでいく。
「……え?雫!?」
玲のそんな焦った声が聞こえたことで漸く、私は自分が息をし忘れていたことに気がついた。
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