第41話

丸1日抱いても、2日目の朝を迎えても、雫が俺の背中に手を回すことはない。



抱いているのは俺なのに、雫は誰に抱かれようが、きっとこの悲しみは変わらない。


傷つけているのだと思う。不本意に俺に抱かれて。


沖田家の娘としては、当主に抱かれ、子を産むのは当然の事。身体は心とは別に、忠実に動く。



枕に顔を埋め、肩で息をする雫の汗ばんだ背中を見下ろした。


自身をゆっくりと引き抜けば、雫の太股に欲が伝う。それを気にすることもなく、ぐったりと体を横に倒した雫は、薄く目を開けて俺を見上げた。



「……っ、」



不安げな目は、俺に何を言いたいのか。だけどそれ以上に、俺の頭の中を苛立ちが支配していた。



「雫。」



名前を呼んでみても、雫は口を動かすだけ。かなり疲れているらしいが、それよりも、啼かせすぎたかと苦笑した。




細い肩に指を滑らせれば、面白いほどに雫の身体が熱を上げ始める。


何度も俺の匂いを覚えさせ、俺の形を打ち込んだおかげで身体だけは俺を欲してくれているらしい。



胸に抱き寄せ、額にキスをすれば、戸惑う瞳が俺を映した。



「とう、しゅ、っっ、ゴホッ、」



本当に声が涸れているらしい。せき込む雫をそっとベッドに沈め、ベッドヘッドの水へと手を伸ばした。

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