第36話
全てを語ってやるつもりは毛頭ない。これだけのことをしたのだから、沖田家の人間ならば自分たちがどうなるのか、分かっていて当たり前だからだ。
「沖田の質も落ちたな。」
「っっ、」
雫様が唯一、”曲がらず”にいてくれた。しかしそれも、これからの彼女を見ていかないと分からないかもしれない。
沖田・恩田の家は、特別だ。
それは当たり前。京極の家にはその両家からしか嫁げないのだから。
ライバル関係ではあるが、きちんと”周期”がある。それでも、沖田・恩田家は自分の家こそが京極家に相応しいと競い合ってきた。
競い合うことは悪いことじゃない。それぞれが上を目指し、努力をするからだ。
沖田・恩田家の発展は、将来的には京極家の発展へと繋がる。
だからこそそれは、”逆”もありえるんだ。
「恥さらしめが。」
吐き捨てて、部屋を後にした。
沖田からこのような人間が出たことは、将来の京極家への不利益となる。
しかも今回は、決まり事を勝手な思い込みでねじ曲げた。
それは、秩序の乱れに他ならない。
何人たりとも、京極家を軽く見てはいけない。それはこの世にある”常識”を覆してしまう行為だ。
車に乗り込んだ俺の表情は、苦々しく歪んでいた。
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