第34話
「何か?」
意見があるのなら、言うが良い。沖田家の人間だからと、滅ぼされないとでも思っているのか。本当に傲慢で、烏滸がましい奴らだ。
その横で、顔色悪く座っている長女もまた、あまり納得はいっていないように思う。
雫様はこんな家で孤独に暮らしてきたのだろうか。思わず眉尻が下がる。
「霧のどこが、いけないのですか!?何でもできる子です!気楽にしていた雫よりも、この子は真剣に!玲様の妻としてふさわしくなるよう、心がけてきました!」
憤然とそう言う女は、何も分かってはいない。
「優秀だから、心が決まっているかではない。全ては、我が神のご意向。何をしようと、京極家当主が選んだ方が、妻になるのです。」
「っっ、」
理不尽に思うかもしれないが、どれだけ努力をしたかは問題じゃない。いや、この女もそれなりに努力をしてきただろうが、雫様の方がきっと、誰よりも努力を重ねてきたはず。
それを見ようとしなかった人間ばかりに囲まれていたせいで、そう見えなかっただけだ。
「沖田霧。」
名前を呼べば、女は虚ろな目をこちらへと向けてくる。ショックだろう。そうだろうな。
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