第27話

精悍なその顔立ちは、男らしい格好良さ、と言おうか。長谷川さんにはどこか女性的な格好良さがあるけど、遠藤さんはその逆を行っている人だった。




「俺は、雫しか要らない。」


「っっ、……え?」



ぼーっと彼らを見ていた私は、ぬくもりに包まれていた。



「昔からそうだ。」


「そうですね。」


「如何様にも。」



駄々をこねているだけな気がするけど、なんせ、私を抱きしめている当主様が余りにも真剣に言うから。


遠藤さんも、長谷川さんも、とても真剣にそれに答えている。



言葉だけをみれば、おちゃらけている雰囲気のはず。なのに、この部屋に漂うのは、息苦しいほどの重い雰囲気だった。



「俺から取り上げようとしているのか?」


「そんなことはしようとも思っておりません。」


「なぜそこからそうなるんでしょう。」




私を離まいとキツく抱きしめる当主様は、身震いするほどの低い声を出している。



「っっ、う、」



余りにもキツく抱きしめるものだから、息を吐くのも苦しくなって。思わずうめき声を出せば……



「ウウウ~ッ、」



蒼が唸りだした。それに驚いたのか、当主様の拘束が緩んで。ホッと息を吐き出した私に、当主様は漸く気がついてくれた。

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