第13話

side 雫




チッ、チッ、チッ、



秒針を、ただ見据えていた。


秒を刻み、分を刻み、そして時を刻む。


嗚呼、もうすぐ。




12月12日、午前10時。その刻は来た。




チッ、



「は、はぁぁぁー、」



長く吐かれた息は、安堵からじゃない。不安から解放された安心からでもない。



私の、人生が、


報われなかった人生が、


本当に、”用無し”とされた。



そんな、絶望から。




これまでの私は、お姉さまという勝てない壁の前、それをただ見上げていた。


それは、普通なら苦しい、辛いと思うだろう。



私もそう思うけど、だけどそれは、目標や行き先がある安堵感には敵わない。



この家にやってきた時に、確かに感じた解放感は、まやかしだったらしい。


たった数日なのに、この家に蒼と一緒にいただけで、何もできていない。私は目標を見失い、将来が見えなくなったらしい。



「これから、」



どうすればいいのか。そう続けようとして、口をつぐんだ。



これまで私は、何をしていたのか。これからの自分をどうしようと思って生きてきたのか。


それさえも、分からなくなったから。

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