第14話
混乱する頭は、クリアにはなってくれない。
世間知らずの私は、お姉さまという目標を失った今、何をすればいいのか。
お姉さまは、京極玲様の妻となり、私はもう、その姿を見ることすらできなくなる。
目指していた人間が、天上の人間になった時、それを目指そうとしていたただの人間は、絶望を見るしかない。
敵うはずもなく、敵うと思っていなくても、沖田家の次女という自分が、目標を、その上を見ていたはずなのに。
それがないと見えない眼鏡を、目の前で踏み壊された感じだ。
「どうしよっか。」
「……。」
蒼に、聞いてみても返事があるはずもない。小さく息を吐き出して、目の前にある雑誌を手にした。
どうやら、冷静な自分もいるらしく、アルバイト情報誌や就職情報誌が、リビングのテーブルの上には沢山積まれている。
「接客業?管理職?コンビニ?」
様々な業種の載っているそれをパラパラと捲りながら、なぜだか、涙が零れた。
「っっ、うっ、」
自分の人生を、悲観するつもりはない。それなのに、私の内側には、叫ぶ自分がいる。
『私はなんのために、この世に生まれたの?』
気がついた時には、私は次点の女ではなく、もはや京極の妻になることが決定されているお姉さまの従者だった。
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