第11話

side ???




「明日、ですね。」



そう言った地平(ちへい)は、にやついた目を俺に向ける。



「そうだな。」



照れを見せるのは、俺らしくない。そう思いながら苦笑して見せた。



「照れてますね。」



そう言う蒼羽(あおば)は、歯を見せて笑う。



「黙れ。」


隠したつもりの感情は、付き合いの長いこいつらにはお見通しらしい。それでも認めようとしない俺になのか、海渡(かいと)が苦笑いを零した。




燻るタバコの煙を見て目を細め、小さく息を吐いた。



やっと、この日が来たんだ。



あいつを迎えに行く日が。



この、京極の家には、自由しかない。それなのに唯一、守らなければいけない鉄の掟がある。



それに納得いかない俺は、破るのもありだと思っていた。


そんな古めかしい掟、今の時代には合わないだろう。





政略結婚に似たこの掟のせいで、愛し合うという関係とはほど遠いと思っていた。


しかし歴代の京極家党首は、妻を愛し抜いた人間が多い。



その不思議な現象は、運命という言葉を使えばしっくりくるのかもしれない。


それに抗いたかったのもあるのかもしれない。



しかし、俺は気付いたんだ。



これはやはり、運命なのかもしれないと。

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