第10話

『心配しているのよ?』



それだけを言ったお姉さまは、満足したのか、あっさりと帰ってしまった。


「ほんと、何がしたいんだろうね?」



お姉さまを見もせずに眠っていたはずの蒼は、いつの間にか起きていて、私の言葉に聞き耳を立てている。



ああいう風に、言いたいことだけを言って意味の分からない行動をするところ。お母さまに、そっくり。



沸き上がる感情は、憎悪や怨嗟じゃない。


お姉さまに対する、大きすぎる程の劣等感だ。


私も、あんな風に堂々と自分を通してみたい。




「っっ、お風呂、入ろう。」



あと、2日。


あと2日で私は……



この息苦しさから、解放される。



そう思っていたんだ。

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