第10話
『心配しているのよ?』
それだけを言ったお姉さまは、満足したのか、あっさりと帰ってしまった。
「ほんと、何がしたいんだろうね?」
お姉さまを見もせずに眠っていたはずの蒼は、いつの間にか起きていて、私の言葉に聞き耳を立てている。
ああいう風に、言いたいことだけを言って意味の分からない行動をするところ。お母さまに、そっくり。
沸き上がる感情は、憎悪や怨嗟じゃない。
お姉さまに対する、大きすぎる程の劣等感だ。
私も、あんな風に堂々と自分を通してみたい。
「っっ、お風呂、入ろう。」
あと、2日。
あと2日で私は……
この息苦しさから、解放される。
そう思っていたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます