第7話

私はある場所で、見た目の気味悪さから今にも保健所に連れていかれそうになっている蒼を見た。



『私が飼います。』



そう言った自分を今でも褒めてやりたいと思う。


「蒼~。お母さまが呼び出しておいて帰れって言うの。なら呼ぶなって感じよね?」


「……。」


今の私を支えているのも、これからも支え合っていこうと思うのも、この蒼だけだから。



お母さまが今日私を呼んだのはけん制のためだと知っている。お姉さまの現状を見せて、立場が違うのだと認識させようとしている。


仕方のないことだとは分かっていても、込み上げてくるのは悲しみ。


私はそれを、3人掛けのソファーを支配するほど大きな蒼の艶やかな毛並みに顔を埋めて消し去る。


蒼はジッとそれを見て、頬を舐めてくれるんだ。



次女という立場はとても複雑だった。長女に危害を加える者ということもあるし、積極的な人は当主様にアピールをして妻の座を勝ち取った人もいるという。



あんな完璧なお姉さまが私なんかに負けるはずはないけど、”私”に負けることは許されないから。


だからお母さまは私を早く家から出して、たびたび心を折ろうとけん制してくる。



「私って、そんなに強欲に見える?」


尋ねた私に、蒼が答えられるはずもない。

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