第3話
先代の当主の妻は恩田から嫁いだ。だから今の当主様に嫁ぐのは、この沖田家からなんだ。
この決まりがいつからあるのかは分からないけど、そのどちらかと結婚した当主様の子供は、必ず、同じ見た目で生まれてくるそう。
白髪に、黄みがかった目、透き通るような真っ白な肌に似合わず、舌はリンゴのように赤い。
まるで、狗神様のようだと、忌み恐れられてきた。
沖田家、恩田家の女と婚姻を結んだ当主様は、必ず、後継者を作らなければならない。
容姿が絶対条件なんて変な話だけど、当主の座に座る人は必ず、見た目が同じじゃないといけない。
そして、私が20歳、お姉さまが23歳の今年、お姉さまの輿入れが決まった。
それは、京極家初代当主に習い、当主様の年齢が21歳になった時に決まるから。
そのせいだろうか。迎の儀(むかいのぎ)が近付いた今、お母さまはお姉さまの”メンテナンス”に忙しい。
エステに向かったお姉さまをお見送りして、ため息を一つ吐き出した。
私だって今日は、用事があったのに。
そんなことお構いなしのお母さまは、私を付き人として呼び出した。
お姉さまは、何でも自分でこなせる人。世話人なんて必要はないと思うのだけど。
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