第57話

休憩に入ったからか、スタッフさんたちの動きが慌ただしい。テレビの裏側なんて見ることがないから良い経験したな、なんてミーハーなことを思ってしまう。



そんな中でも突き刺さる視線は、気にしないことにした。人から見られることは不快。学校で身をもって経験していた。



だけど今私を見ている人たちは、単純に興味だけを持っている。



それはただ気まずいだけ。学校みたいに最低な気分にはならない。




「差し入れいただきました~!」



スタッフさんの1人が突然、大きな袋を持って横を通っていく。驚いたせいか、暗い気持ちに押しつぶされそうになっていた気分が一気に浮上した。



「失礼します。」



そのスタッフさんに次いで部屋に入ってきたのは、秋穂さん。



「あ、」


私を見て目を見開いた秋穂さんが何か話そうとしたところで、死角から細い女性の手が現れた。



「冬華さん。」


「ん?」



女性の手が秋穂さんの腕に触れる。その途端、女性の全身が姿を現した。



「っっ、」



頭の高い位置で長い髪をお団子にしているその人は、細目が印象的なインテリ美人だ。



顔もすっごく小さくて、小柄。私より10センチは小さいと思う。

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