第56話
「あの、」
なにか?と続ける前に、フンと鼻を鳴らしてその女の人は小走りで光彦くんを追って行ってしまった。
「なに?」
茫然と佇む私は光彦くんが雀の服装のチェックをしている様子を遠目に見た。少しよれていたのかそれを直してみたり、全体的な見た目のチェックをしてみたり。
その程度だったけど、光彦くんの表情は真剣そのもので、やっぱりすごい人なんだなと実感する。
そんな光彦くんを、さっきの女の人はすごく嬉しそうな笑顔で見つめていて……
「あ、そういうことか。」
彼女の気持ちを察してしまった私は、苦笑いするしかない。気持ちは分かるから単純にムカムカできないというか。
それにしても……
「私と光彦くんて。」
思わず吹き出してしまった。だって想像もできないから。確かに素敵な人だけど、さすがに年上過ぎて、恋愛対象に見るには難しい。
それに、光彦くんのキャラがそうさせるのか、光彦くんは男性というよりすごく気の合うお兄さんという感じだ。
でも、私より大人なあの女の人が私に嫉妬しちゃうくらい光彦くんが好きなんて……ちょっと、可愛いと思ってしまったり。
さすがモテモテ光彦くんだなと感心もしてしまう。
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