第51話

なにしてるの?そう言おうとしたところで、光彦くんがドアノブをひねった。



勢いよく開かれたドア。そこにいる、人、人、人。



スタッフらしき人たちがたくさん、私の部屋の前に茫然と立ちすくんでいる。



「なんてね、そんな展開はありません~。」



光彦くんがピースサイン。それにようやく気が付いたとばかりに、スタッフさんたちは気まずそうに散り散りになっていく。



「ほら。大の大人が非常識になるくらいには、みんな君のことが気になってるんだ。」


「……。」



それは、雀の婚約者だからでしょ?そう思ってしまう。



俯く私の前にしゃがんで、光彦くんは親指を立てた。




「堂々としてなよ。冬ちゃんたちの生活に踏み込んできたのはあいつら。ここは自分の家なんだから、こんなところで籠ってないで、いつも通りに過ごせばいい。」


「でも、」


「俺も、同感。」




その声は、雀。いつもとは違って少し上品な服を着ている雀が腕を組んでこちらを見ていた。



「撮影に入らない程度で自由にしていい。こうして部屋の中で光彦に襲われでもしたらそっちの方が困る。」


「は?俺襲ってないし。」



抗議をする光彦くんを睨みで制した雀は、ドアを開けっぱなしにして私の前にしゃがむ。

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