第42話

side 雀




冬陽は自分の存在を常日頃から恥じていた。



自分勝手なガキどもに振り回され、信じるべき教師に裏切られた、被害者だというのに。



だとしても、世間はそう見ない。そう思うのだろう。



現実、被害者であるはずの冬陽の画像は、彼女そのものとして見られる可能性は大きくあるのだから。



可哀そうだねと眉を潜める者もいれば、それを見て楽しみ笑う者もいる。人はそれぞれ考え方は違う。だからこそ100%被害者だといわれる人間は存在しないのが現状だ。




小説家雪花は、世の中ではかなりクリーンなイメージで通っている。



一人の女性を毎度違う観点で見つめ続ける作風。これは作家本人の実体験を組み込んでいるんじゃないかと噂されている。



実際そうではあるが、雪花自身、雑誌のインタビュー程度はあるものの、多くを語らないせいであらゆる憶測が飛び交っていた。



もちろん、悪い意見もある。雪花が嫌いだと声を大にして言う評論家もいるほどだ。



それでも、露出の少なさからか雪花のイメージは綺麗で純粋なものが大半だった。




そんな雪花の婚約者が、あの画像の女だと分かったら。



冬陽がそう考えるのは、ごく当たり前のことなのかもしれない。

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